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随分前から、月1000円払ってヤフー映画の見放題コースの会員になっているのだが、ほとんど観ていなかった。いつか、まとめてみて取り返してやろうと思いつつ、時間が経っていくばかりで、これも一種の放心家組合商法か。 というわけで、年末に最近の映画(といっても、ここ10年くらいのだが)を固めてみた。ミステリ関連では、「マッチスティック・メン」(父娘の詐欺師物だがドンデン返しあり)「アサシン」「ラストサマー」(13金型青春ホラー。意外な犯人や脅迫状の扱いにミステリ的工夫あり)「ラストサマー2」など。最後のやつは、南の島でのサイコホラー物だが、設定からして笑える。 で、中で、おおお、と驚いたのが『アイデンティティー』。「2009本格ミステリベスト10」の「オススメ映画アンケート」の中で二人の方が挙げているし、HMM12月号の池上冬樹氏のレヴューによると、この映画にインスパイアされたフランスのミステリ(パトリック・ボーウェン『カインの眼』)も邦訳されているようだから、もうミステリ好きには、現代の古典なのかもしれないが、当方最近の映画に疎く、ほとんど予備知識ゼロで観たのが幸いだった。(未見の方は予備知識ゼロで観るのがおすすめ) 『アイデンティティー』 (2003・米) ☆☆☆☆監督/ジェームズ・マンゴールド 出演/ジョン・キューザック レイ・リオッタ 豪雨の中、モーテルに集まってきた曰くありげな11人の男女が、周囲との連絡が絶たれた中で、一人一人ずつ殺されていく、という『そして誰もいなくなった』型のサスペンス。冒頭から、男女が集まってくるまでの経過が小道具をまじえてうまく関連づけられており、リズムがとてもいい。ハワード・ホークスの『教授と美女』のホテルシーンでの「6」と「9」の部屋番号の転倒といった引用があったり(ゴダールの『探偵』でも引用されていた)、『サイコ』や『キーラーゴ』といったモーテルサスペンスに敬意を表しているようなところがあったりで、制作者側の志向が伝わってくる。しかし、今更、どんな手を出してくるのかと思っているうちに、中盤以降、まったく予想もしないところに観客は拉致される。大きな仕掛けが明らかになった後も、さらにラストの短いショットででサプライズを演出している。形而上的サスペンスに行ってもおかしくないネタで、上映時間ぴったり90分の引き締まった娯楽作に仕立てあげている手腕が見事で、最後まで唸らされた。 |
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